最近のメディアに思うこと…

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な〜んかスッキリしない。
何のことかというと最近の色々なメディア。(マスコミといった方がいいのかなぁ…)
それは、『ちゃんと真実を伝えなければいけないのでは?』と思うことだったり、『謝罪の仕方が間違ってるでしょ。』ということだったり…
例えば少し前に話題になったことでいえば、

J-CASTニュース : 草なぎ剛の後釜「地デジカ」の説明文 「ウィキペディア」丸写しをしていた?

草なぎ剛さんの後釜として登場した地デジ普及の新キャラクター「地デジカ」。その「地デジカ」を説明する文書の一部が、ネットの百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「シカ」の項目の丸写しではないか、とネットで騒ぎになっている。

民放連、「地デジカ」説明文のWikipedia引用部を削除 「ネットの指摘で判明」 – ITmedia News

民放連は、「地デジカ」の説明文に使っていたWikipediaの引用を削除した。「ネット上の指摘で問題が発覚した」という。

上記のソースの記事を読んでもらうとわかりますが、民放連がサイトに掲載した資料に Wikipedia の文章をほぼそのまま流用していたのではないかという疑惑。
結局、必要な手続きをとっていなかったとして、該当部分の削除・資料の訂正ということになったのですが、その対応についてちょっと疑問が…
このキャラクターや資料の制作は民放連ではなく、おそらくどこかの制作会社がおこなっていると思います。(キャラクターはフジテレビのデザインだという噂が…)
なので、『知らなかった』ということなのでしょうが、

草なぎクン後任つまずく、「地デジカ」説明を無断で借用 / ニュース / エンタメ / YOMIURI ONLINE(読売新聞)

民放連は「ウィキペディアを参照したことは確かで、出典を明記するなど必要な手続きをしていなかった。当該部分を削除することでおわびに代えさせてもらいたい」としている。

って、この対応はおかしいでしょ。

いくら外部の制作会社や下請けに仕事を発注したとしても、やはりチェックや確認はしなければいけないわけで、このような問題やミスなどがあった場合は速やかに訂正及び謝罪することが必要ではないでしょうか?
それなのに訂正したからそれがお詫びだなんて…
ホント情けないです。

それともうひとつ。
これは、民放連だけでなく他のメディアにも言いたいことなのですが…

2009年05月08日 「What’s 地デジカ」(2009.04.27)の一部訂正について – NAB LOCAL

文章の一部は、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を参照して作成したものであり、その引用・加筆にあたり必要な手続きをとっていないことが判明したため、該当箇所を削除し、同資料を訂正いたしました。

引用ってどういうことかわかってますか?
現在は訂正された資料しか見ることができませんが、訂正前の『引用・加筆』とされている部分はとても『引用』とはいえるものではありません。
この場合は『転載』にあたると思います。
まして『加筆』とされている行為は『改編』にあたるのではないでしょうか。
文化庁の著作権テキストによると

  • ア 既に公表されている著作物であること
  • イ 「公正な慣行」に合致すること
  • ウ 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
  • エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
  • オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
  • カ 引用を行う「必然性」があること
  • キ  「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

となっています。
引用先、引用部分の『主』『従』の関係もなければ引用部分を明確にしていないし、『正当な範囲内』とは思えない。
つまり、民放連が言うように『その引用・加筆にあたり必要な手続きをとっていないこと』ではなく、無断で転載・改編をおこなったということ。
これは著作権法上問題のある行為だと思います。
ホームページに『禁無断転載』と書いてあるくらいですから、いけないことなのはわかってますよね民放連さん。
酔っぱらったタレントを非難するのにこの行為はスルーですか、鳩山総務相さん。

ただ、Wikipedia の場合『引用の要件を超える量の場合』として『GFDL ライセンスに従った再利用を行うことができる』とありますので、通常の解釈とはちょっと違うかもしれません。
このあたりは、法律の専門家に聞いてみたいものです。
しかし、個人的には『引用』の範疇ではないと思っています。

で、ここで問題になるのが各メディアの記事の内容。
例えば、上記の YOMIURI ONLINE の記事の中に

草なぎクン後任つまずく、「地デジカ」説明を無断で借用 / ニュース / エンタメ / YOMIURI ONLINE(読売新聞)

インターネット上の無料百科事典「ウィキペディア」内の「シカ」の説明文から無断引用されていたことが8日、わかった。

とあります。
この中の『無断引用』って何ですか?
たまたま、YOMIURI ONLINE の記事を取り上げましたけど、他の大手新聞社の記事にも『無断引用』という言葉が使われていますし、ほとんどのポータルサイトのニュース記事にも使われています。
で、またまた聞きますが、引用ってどういうことかわかってますか?

先ほどの著作権テキストの中に『出所の明示 』という項目があります。
そこには、

著作権テキスト

引用,教科書への掲載,点字による複製等の利用に当たっては,一定の条件を満たせ
ば著作権者の了解を得る必要はありませんが,誰の著作物を利用しているかを明らかに
することが法律上要求されています(第48条)。

つまり、一定の条件を満たせば著作権者の了解を得る必要なく引用できるとなっています。
ですから、『無断引用』という言葉そのものがおかしいわけで、このような言葉を使う記者・記事は信用できません。
単なる揚げ足取りだと言う方もおられるかもしれませんが、メディアは正しい表現をしなければいけないと思います。
今回の問題は、『無断引用(そもそも上記の理由でこれ自体おかしい)』をしたことではなく、『引用の手続きをとらなかったこと』と『引用の範疇を超えている転載・改編にあたる著作権法上問題のある行為』を記事にするべきだと思います。
それなのにニュース記事のほとんどが『無断引用』云々という記事になっている。
元々のソースに『無断引用』と書かれているのだろうと思いますけど、これこそ内容を確かめないでコピペしているメディアの大罪だと思うんですけどねぇ…

それと上記のJ-CASTニュースの

J-CASTニュース : 草なぎ剛の後釜「地デジカ」の説明文 「ウィキペディア」丸写しをしていた?

「ウィキペディア」の記事を引用する場合はその出典を明記しなければならず、明記しないと「GFDL違反」を問われる。

これも解釈が間違っているように思う…

他にも『最後のパレード』や『週刊誌の誤報記事とそのお詫び』、『あるタレントの無期限謹慎問題』などなど、最近のメディに対して色々と思う今日この頃です。

最後に、デザイナーという職業はメディアとは関係ないように思われるかも知れませんが、広義ではメディアの一員だと思います。
ですので、今回の記事や著作に関しては自分に対しても言い聞かせているつもりです。
また、知らず知らずのうちに似たような作品を制作してしまうことがあることも理解できます。
例えば、思いついたメロディが、実は以前どこかで聴いたメロディだったりすることがあるように、人間の記憶っていいかげんな部分も多々ありますからねぇ。
ただ、その場合でもその後の対処を間違えなければいいのではないかと思ったりするのですが…

今回の問題は、以前どこかで見た文章というわけにはいきませんけどねぇ。

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